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貝原氏の野望
休日の朝、新聞を広げていたら、チラシのなかから兵庫県の広報が出てきました。そこで貝原俊民知事は、この兵庫において「人、モノ、情報が自由に行き交う大交流時代の到来を見据えた社会基盤」が整いつつあると胸を張り言います。そしてその内容はと言えば、「道路網については、高速道路等の共用延長距離が約530キロで全国1位。さらに、昨年には最新鋭の高規格道路となる第2神明自動車道が事業着手され、この5月には播但連絡道路もいよいよ全線開通します」等々。
なるほど、兵庫県は瀬戸内海から日本海までと広く、私が住んでいる西宮から日本海へ泳ぎに行くには3時間近くもかかります。これは新幹線で東京へ行くのとたいして変わらないのです。だから貝原氏が、6基幹軸を中心に県内1時間高速交通網を整備しようというのも、県北部の人たちにとっては切実な問題なのかも知れません。
そういう期待もあって但馬空港が1994年に開港し、大阪空港まで35分、東京まで乗り継げは最短約2時間で、日帰りできるようになったということです。しかしこの空港は1日2便しかなく、県財政にとっては全くのお荷物空港で、毎年1億円近い県費を注ぎ込んでいるありさまです。
その実態を証明するものとして、『週刊ダイヤモンド』の特集「こんな空港いらない!
全国空港不要度一覧」での指摘を紹介しましょう。「総合点ゼロで『不要度』Aランクになったのは紋別(北海道)、庄内(山形)、三沢(青森)、南紀白浜(和歌山)、但馬 (兵庫)、石見(島根)の6空港。いずれも搭乗率は60パーセントに満たず、路線数も1路線から4路線にすぎない。利用者には不便で、航空会社としては採算がとれない空港だ」(1998・10・17)
というようなことで、道路網が整備されることは一面では県民の希望でもあるでしょうが、将来に禍根を残すことにもなりそうです。例えば、国と阪神高速道路公団を相手に争われていた尼崎公害訴訟で、1月31日神戸地裁は損害賠償と大気汚染物質の排出も一部差し止める判決を出しました。これなども、当初片側5車線の国道43号線が開通し、さらにその上を高速道路が蓋をするような状態となり、これで健康に影響がないほうがおかしい状態でした。そして震災の時には、上の道路が下の道路に覆い被さったのです。今は43号線は片側3車線に縮小しているけれども、それでも何の問題もないとは言いがたいのです。
日本が誇る架橋技術によって建設された明石大橋も、期待外れというか予想通りというか、利用車量が伸びず早くもお荷物となりつつあります。春になれば淡路花博(ジャパンフローラ2000)が開催されますが、これも明石大橋の利用促進と淡路島への観光誘致が目的です。会場には6カ国語同時翻訳機能など最新設備を誇る国際会議場が建設され、ホテルもオープンします。こうした施設が後々も有効に利用されるならまだしも、閑古鳥が鳴いてその維持費負担に島民が泣くことになるのではと心配が先走ります。
貝原県政は相も変わらず開発行政一辺倒で、ビックプロジェクトに野望を燃やしています。彼にとっては建設そのものが目的でもあるのかも知れませんが、それによってもたらされる県財政の赤字拡大、自然環境の破壊はどうしてくれるのでしょうか。陸・海・空の総合交通体系のなかには、2005年度開港予定として神戸空港もしっかり位置づけられています。
いや、もううんざりだ。いい加減にしてくれ。貝原氏の野望の犠牲なんかになるもんか。便利に惑わされることなく、何が必要で何が不要かは自分たちで考え、開発知事をお払い箱にしよう。
(晴)
追記――国と公団は自らの道路行政の破綻を糊塗するために控訴を決めました。ひたすら道路を建設することによってもたらされたのは、道路公害の全国への拡散です。今、道路行政に求められているのは車に対する規制、とりわけディーゼル車の走行規正ではないでしょうか。しかしこれは自動車産業の利益に反するがゆえに、今の国には執りえない方針でしょう。だから彼らは、道路公害に苦しむ人々にさらに犠牲になることを要求しているのです。